iDeCoとつみたてNISAの違い
年金2000万円問題で話題となった金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書。実はこの中身は、自ら行動して自身が納得出来る豊かな人生づくりを目指す長期資産形成への提起だったわけですが、その中で再三言及されているのが「iDeCo」と「つみたてNISA」の活用です。どちらも政府が整備した非課税制度で、プレジデントウーマン読者には両制度の性格を理解した上でしっかりと有効活用することで、将来の経済的自立に向け行動していただきたいと思います。
「iDeCo」の正式名称は個人型確定拠出年金といい、厚生労働省が主管する私的年金制度です。毎月一定金額を拠出して投資信託等を通じた運用を行うことが前提で、60歳まで拠出が可能であり、70歳までは運用を継続することができます。拠出金額は毎年所得控除が受けられ、累積した運用利益に対しても非課税となるのに加え、受取時にも税務上の恩典がある有利な制度です。
他方「つみたてNISA」は金融庁が管轄する少額投資非課税制度です。長期資産形成に資する登録要件を満たした投資信託等を投資対象とすることで、20年間の累積運用利益に非課税が適用され、名前の通り積立投資でしか参加できない仕組みです。
どちらを先に始めるべき?
では資産形成へと行動を起こそうと考える読者の皆さんは、どちらから始めるべきか? 無論両制度を並立して非課税枠をフル活用していくのが理想形ですが、まずは「つみたてNISA」から第一歩を踏み出しましょう。「つみたてNISA」は口座開設も容易にできるし、何より資金の流動性が確保されていることが安心感につながります。
将来に向けた長期投資を前提にしていても、人生には突発的に資金を必要とするケースが発生するかもしれません。失業の可能性も、長期入院を要する大けがや病気にかかることだって誰にでもあり得ることです。「つみたてNISA」の流動性とは、イザというときにいつでも解約して資金化することができる仕組みになっているということで、貯金の延長線のような感覚で参加することができるはずです。
一方で「iDeCo」は正式名称の通り年金制度なので、拠出した金額は60歳以降まで現金化することができません。長期資産形成目的なので悪いことではないのですが、流動性を諦めなければならない点で、より強い覚悟を必要とします。まずは気楽な感覚で「つみたてNISA」から活用してみてください。