夫婦共働きで世帯年収は1000万円を超える。家計も黒字で投資もしていて特に問題ないように見えるが、大きな課題が2つ。老後資金のためにしている投信つみたてが実は借金を生み出していた。加えて、自宅には20代の3人の息子が住み、正社員として働いているのに家に一切お金を入れない。家計再生コンサルタントでFPの横山光昭さんが投資の方法や家計の見直しをして夫婦にアドバイスしたこととは――。
札束
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毎月10万円の投資をクレカで決済

今回相談に見えたのは、神奈川県にお住まいの井出コウジさん(仮名・52歳・会社員)とユウコさん(仮名・48歳・医療従事者)夫婦。会社員勤務の20代の息子3人(29、27、25歳)と、一家5人で住んでいます。

ユウコさんは、大のポイ活好き。当初は必要な分だけクレカで決済するよう心掛けていたものの、次第にポイント重視で買い物をするようになり、気づけばクレカの決済額が肥大化。きっかけは、「クレカつみたて」でした。

「昨年、もともと興味のあったNISAが、10万円までクレカでつみたてできるようになったことを知り、老後資金を貯めるためにNISAのつみたて投資枠を上限MAXの10万円に設定し、“クレカつみたて”を始めました。10万円を毎月つみたてれば、ポイントがいっぱい貯まるし、他の支払いをそのカードに集約すればゴールドカードの年会費も無料になるから。

でも、そのせいか分からないんですが、だんだん貯金額が減ってきて、月によってはクレカ利用額の支払いすら厳しいことも……。支払いピンチの時は、部分的にショッピングの支払いを分割払いにしたり、支払いのためにキャッシングしたりして乗り切っていました」

と、ユウコさんは話します。続いて、こう尋ねました。

「ポイントは貯まっているので得しているとは思うんですが、こういう使い方で大丈夫でしょうか?」

井出さんの家計状況を詳しく説明すると、世帯の手取り収入は約67万円(夫40万円、妻27万円)。住宅ローン15万円などの支出後に、毎月10万円程度黒字になっていたことから、10万円をすべてつみたて投資に充当。しかし、月によっては10万円を残せないことも度々ありました。そんな時は200万円程度の貯金から補充してクレカつみたてを続けていたのですが、夫婦ともにボーナスがないため、家電の買い替えなど臨時出費が続いたときは、手数料が発生する分割払いやキャッシングに頼ってしまうことも少なくなかったそうです。