2つの制度はどんどん改良されていく

件の報告書で、これら両非課税制度の有効活用と共に繰り返し言及されているのが、「長期・積み立て・分散」投資の勧奨です。この投資行動3原則をそろって実践するのはとても大切なことで、それによって長期資産形成における将来の損失可能性を合理的に減らすことができます。逆に言えば皆さんが見据える投資成果の実現可能性を合理的に高めることができるということです。実は「iDeCo」も「つみたてNISA」も、共にこの3原則の行動を自然に実践させてくれる仕組みが備わっていて、長期で資産形成を続けるにふさわしい制度設計がなされています。

「長期」ということを考えれば、「iDeCo」は65歳までの拠出期間延長が検討されており、「つみたてNISA」は今般の報告書でも制度恒久化や非課税期間の撤廃などいくつもの制度改善提言が盛り込まれています。きっと早晩、さらに「長期」で運用を続けられるようになっていくことでしょう。

目先の相場は気にしなくて良い?

次に「積み立て」について考えてみましょう。どちらの制度も原則毎月一定金額を投資に拠出することが前提の仕組みで、自身の可能な拠出範囲に鑑みて投資金額を設定できます。まとまった資金がないから投資できないと躊躇することも不要ですし、毎月少しずつの投資のため恐怖感もおきないはずです。日々の相場は結構上下に振れますが、上がったらもちろん心地よいし、下がったなら次の積立時期に安く買って仕込むことができる。積立とは、目先の相場が上がっても下がっても一喜一憂することのない仕組みなのです。「これから相場はどうなるの?」「いつ買ったらいいの?」「私の買値はいくらだから……」といった心の憂いからすっかり開放される、積立投資は長期資産形成に欠かせない精神安定機能を有しているのです。

そして「分散」投資は投資信託の中でプロの運用者がしっかりポートフォリオを組んで管理してくれます。自身が目指す長期運用目的をちゃんとかなえてくれる適切な商品を探し出すことが何より重要なことなのです。例えば、両制度がこの先制度改正されることも見越しつつ、30年しっかりと長期で投資を実践し続けたなら、お金がどの程度育つものなのか、次の表でザックリとイメージしてみましょう(図表1)。