2020年度予算の「100兆円突破」は確実

他の省庁の概算要求をみても「大盤振る舞い」予算ばかりだ。「国土強靭化」という政府の旗印を頼みにする国土交通省の概算要求額は7兆101億円。2019年度当初予算に比べて18%も多い。公共事業費も20%も積み増して6兆2699億円を要求している。大規模な自然災害が頻発していることが、予算要求を「正当化」している。

北朝鮮を巡って安全保障上の脅威が高まっていることを背景に、防衛省の概算要求も過去最大になった。要求額は5兆3223億円と2019年度当初予算比1.2%の増加。米国からの戦闘機購入などに加え、宇宙空間での防衛体制強化などに向けた予算が積み増される。

8月末に出そろった各省庁の概算要求の総額は約105兆円と過去最大になった。今後、各省庁と財務省の折衝などで圧縮されるものの、2019年度予算の概算要求段階よりも2兆円も多いことから、最終的に決まる2020年度の予算が100兆円を突破するのは確実な情勢だ。

主要国で最悪の「大借金国」がまた借金

大盤振る舞い予算のツケは国の借金の増加に直結する。税収は2018年度に60兆円を超え、バブル期を上回って過去最大になった。とはいえ、100兆円を超える歳出予算を組んでいるため、差額の40兆円は国債発行など「借金」に頼らざるをえない。国債に借入金と政府保証債務を加えた、いわゆる「国の借金」は6月末で1105兆円。一向に増加が止まる気配はない。

借金総額は年間のGDP(国内総生産)の200%と、主要国の間で最悪の財政状態になっているとしばしば指摘される。そんな大借金国が、予算をどんどん膨らませていて良いはずはない。

そんな巨額の借金を、今後、日本は返していけるのだろうか。何せ、人口は2008年の1億2808万人をピークに、その後減り続けている。新たに生まれる出生者数の減少は止まっておらず、今後、団塊の世代の死亡率が高まると、日本の人口は急速に減り始める。しかも15歳から64歳の「生産年齢人口」と呼ばれる世代は1995年の8717万人をピークに減っている。

ここ数年は働く女性の増加や働き続ける高齢者の増加によって就業者数も雇用者数も過去最高になっているが、これも今後ピークアウトしてくる。現役就業者が減れば、税金や社会保険料を負担する層が小さくなるわけで、歳入増は見込めなくなってしまう。