「基本」を体に覚え込ませてこそ無事故で生きられる
【人を動かすには「2つの覚悟」が必要だ】
仕事、それも大きな仕事をしようと思ったら、人を動かさなければなりません。これは簡単なことではありません。私は「人を動かす」ということに関しては、「2つの覚悟」が必要だと考えます。ひとつは「先頭に立つ覚悟」、もうひとつは「責任を取る覚悟」です。理屈ではなく、覚悟を持って物事に対処することが大切なのです。
とかく頭の良い人は、人は「理屈」で動いてくれるはずだという思いがあるかもしれません。でも、そんな完璧な理屈があるなら、その理屈でもって、まず自分を思うように動かせばいい。しかし、自分がそんな違和感ゼロで動ける理屈などそうそうあるはずがありません。つまり、自分すら動かない理屈で人を動かそうと思うこと自体が間違っているのです。
それでは、どうするか。
戦前の海軍のエリートを養成する海軍兵学校では、「指揮官先頭」ということが厳しく教えられました。まず、指揮官は先頭に立って行動するということです。
これを実践するには、覚悟がないとできません。嫌なこと、危ないことでも先頭に立たなければならないからです。部下がやることを何でもすべて上司でやれ、と言っているのではありません。重要な方針や危機対応は自らが先頭に立って行うということが必要なのです。
そして、もうひとつは、責任を取るということです。
指示をして、部下を動かして、その結果については自分が責任を取らなければなりません。さらには、指示をしていなくとも、自分の責任範囲については、責任を取らなければなりません。それこそがリーダーの仕事です。部下に責任を押し付けるのは最低な行為です。
私は、社員14人の会社の代表者です。このような小さな規模の会社でもときに顧客からお叱りを受けることがあります。そういう時は、私自身が顧客にお詫びさせていただくことも珍しくありません。お詫びする行為は、気分のよいものではありませんが、これもリーダーとしての仕事だと思って覚悟を決めてやっています。
ルーティン実践すれば自分の人生や経営を逆走・暴走しなくてすむ
これらの「先頭に立つ」「責任を取る」という行為は普段からやっていないと、いざというときにできません。車を運転していて「危ない」と思ったら、アクセルにあった右足をとっさにブレーキに移動させますが、その時は何も考えていないと思います。無意識です。それが習慣というものです。
普段からやっていてこそ、とっさに心と体が動くのです。そうでなければ、大事故・大惨事を起こしてしまいかねません。
ここで述べたような基本をしっかり実践すること。それが、自分の人生や経営を成功させることにつながると私は信じています。