「100%の安心・安全」というありえない物語

ふつう現役の医者は、医療の限界や闇の部分を語ろうとしません。それは医者自身が自己否定を恐れるからです。われわれが沈黙を守り続けた結果、何が起きたか。医療に対する世間の期待値が、おそろしいくらい高くなってしまったのです。

作家・医師 久坂部 羊氏

医者も人間ですから、試行錯誤を繰り返すなかで「自分のやっていることは全部正しい」という建前を信じていない限り前へ進むことはできません。結果的に医者は世間の高すぎる期待に応えるために無理をし、場合によっては事実を誤魔化しながら治療行為に当たっているのです。