株式投資を始めるには、どんなタイミングがいいのか。10月11日、日経平均株価は一時1000円を超える急落となり、15日にはさらに400円以上も下げた。だが、こういう時に右往左往してはいけない。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「個人投資家は機関投資家と違って長期保有ができる。だから安いときに狙って買えば、しっかり利益は出せる」という。小宮氏が掲げる「6つの株投資ルール」とは――。

決して「丸腰」で株式投資してはいけない

10月11日、日経平均株価は一時1000円を超える急落を記録しました。現在はやや落ち着きを取り戻しつつありますが、株価には必ずこうした「波」が来ます。2008年には「100年に一度」と言われたリーマンショックが来ました。株価は大きく下がりました。そしてこの先も高い確率で大きな景気変動やそれにともなう株価の動きがあると考えられます。

前回、前々回は「会計」と「経済」の初歩的な仕組みを説明しました(※)。経済は「変数」が多く、先が読みづらいものですが、この基本をしっかり頭に入れると、株式投資をする場合でもある程度の自信を持つことができるのではないでしょうか。「会計」は投資する企業の分析に必須ですし、「経済」の大きな流れをつかむことは投資のタイミングを見極めるうえでとても役に立ちます。少なくともマネーリテラシーの低い、いわば「丸腰」の状態よりはるかにいいはずです。

※会計編「法学部卒の私が「会計」を教えられるワケ」、経済編「“東京五輪で好景気”と話す人は経済オンチ

私も10年前から引退後の生活設計のために金融資産の一部を株式や投資信託に投資しています。個人の投資家ですから、投資額はそれほど大きくありませんが、幸いなことに元本を割ることもなく、結果として、そこそこのリターンを得ることができています。

経営コンサルタントの私が株式投資を始めた理由

株式投資を始めた理由は「老後資金の足し」のほかにもあります。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SasinParaksa)

仕事で稼いだお金を何倍にも増やしてやろう、と考えたわけではありません。日本経済の「現在地」から将来を見据えた時、金融資産を現金つまり日本円の預金だけで保有するのはかなり危ういことではないかと思えたのです。せっかく頑張って稼いだお金を、政治や金融政策のリスクにさらしたくはなかったからです。

ご存じのように、日本の政府債務(国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高)は1000兆円を超える規模にまで拡大しています。対名目GDP比では先進国中、断トツの1位。ギリシャが破綻した時よりもずっと悪い状態です。ただ、その債務でただちに国の財政が傾くわけではなく、現在は世界経済が比較的安定し、また日銀の「異次元緩和」で国内経済も保たれています。

しかしながら、1000兆円超の“借金”は健全とはいえませんし、「異次元緩和」はしょせんカンフル剤で、その後の副作用が強く懸念されます。もし、財政赤字がコントロールできなくなれば、ハイパーインフレの可能性も否定できません。

他方、日本では高齢化や人口減少も超スピードで進んでおり、労働人口の減少を放置すれば日本経済は本当にまずい状態に追い込まれるでしょう。そのような状況下で私は、資産の日本円への依存を解消すべく、自分の金融資産の3分の1を株式運用することにしたのです。

私の投資ルールは6つです。