「決算短信」には投資判断の数字が凝縮されている

【ルール5:「決算短信」の数字がよい企業に投資する】

株式投資は、さまざまな「経済指標」を読む習慣なしには成り立ちません。日経平均はもちろん、官庁発表の統計・報告書も株を選ぶ重要な判断材料となります。企業の財務内容を知ることができる「決算短信」もそのひとつです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Nikada)

「決算短信」は、企業が発表した決算の内容をまとめた書類。上場している企業なら自社のホームページに掲載しています。通常、投資をする際の判断資料となるのは、有価証券報告書でしょうが、これは決算の3カ月以上後にしか発表されません。

そこで企業の決算結果などをなるべく早く投資家などへ知らせるため、証券取引所が各上場企業に対して決算短信の作成を要請しているのです(「45日ルール」というのがあり、通常は四半期や年度の決算から45日以内に発表になります)。

この決算短信には、「自己資本比率」「利益」「ROA」「ROE」「配当」といった重要な数字がまとめて載っているのでチェックするにはとても便利です

例えば、「自己資本比率」が30%程度あれば、中長期的な安定性は問題ないと言えるでしょう。また、業種により変動幅が違いますが、景気が通常の状態の時に「利益」がしっかりと確保できていることも株式に投資する上ではチェックしなければなりません。

さらに、「ROA」(資産利益率)、「ROE」(自己資本利益率)が同業他社より優れているかどうかもチェックします。私の場合は、株価に対して何%の配当があるかどうかを示す「配当利回り」も重視します。預金金利が限りなくゼロに近い現在でも、3%前後の配当利回りの会社は多数あります。その中から優良株を買っておけば、多少の株価の変動はあるものの、ある程度の配当を確保することができるのです。

重要な数字はほかにもあります。「PER」(株価収益率:株価が一株当たりの(予想)純利益の何倍か)、「PBR」(株価純資産倍率:時価総額が純資産の何倍か)です。今は、市場全体のPERが14倍程度とそれほど高くはないのですが、20倍を超える銘柄は下落リスクが高いので、慎重になるべきでしょう。PBRは1倍前後までのものなら安心感が強いと言えます。

機関投資家に対する唯一のアドバンテージは「長期保有」

【ルール6:長期保有する】

私の投資スタンスは「長期保有」です。個人投資家は、投資を専業でしているわけではありません。それにだけ時間をかけられません。私の場合はコンサルタントとしての仕事があるわけです。日々の相場の動きに一喜一憂するのではなく、実力がある株を比較的安いときに買って、大きな景気変動などで値上がりするのを待つというのが鉄則でしょう。そのためには短期保有ではなく、長期保有が前提となります。

成果をシビアに評価されるプロのトレーダーたちは、通常、上がる株には飛びつき、逆に下がるときには一斉に売りに出ます。自分だけが負けるのは最悪だからです。そのためそれら機関投資家やそれに乗るデイトレーダーたちの動きにより、市場が実力以上に上がったり、実力よりも大きく下がったりするのです。

そこを個人投資家は狙って買い、長期保有するのです。

個人投資家は機関投資家などに太刀打ちできません。機関投資家はケタ違いに多い資金を動かし、情報量も多い。1000分の1秒単位で高速売買できるようなシステムを持ち、優秀な人材も雇用しています。個人投資家は彼らに勝つことは難しいですが、唯一のアドバンテージは「時間」です。長期投資なら、彼らの動きに乗じて得することは可能だと思います。

とはいえ、株投資にはリスクはつきものです。今回のような株価急落という局面がこれからもあるでしょう。下がったときは買い時です。その判断をするためには、経済や会計の勉強が必要なことはいうまでもありません。

(写真=iStock.com)
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