わかっているようでわかっていないのが「会計・経済」の仕組みだ。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「『会計』の基礎は5時間程度で習得できる。この時間を面倒くさがるビジネスパーソンが多いが、それは大きな間違いだ」と指摘する。どういうことなのか。「会計の基礎の基礎」を小宮氏がやさしく解説する――。

5時間で習得可能「会計」を敬遠する人の理由

ビジネスをしていく上で、会計と経済の仕組みを学ぶことは必須です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/utah778)

専門家のように知っている必要はありませんが、その基本を理解し、「道具」として使える状態にしておくことが大切です。実は会計と経済は、それぞれ5時間程度で基礎は習得できます。しかし、多くの人はその時間をかけようとしません。その気になってやれば、それほど難しいことではないだけにとても残念です。

私は経営コンサルタントとして、自分が代表を務める会社で、会員(個人・法人、約450人)向けの「経営実践セミナー」を年5回開催しています。各回(4.5時間、1回だけ9時間)のテーマは、「経営の姿勢・経営者の姿勢」「マーケティング」「人を動かす・組織を動かす」などですが、このうち「会計・財務」の回だけは他よりも15%ほど参加者が減ります。

どの回も東京と大阪の合計で330名前後の参加者がいるのですが、「会計・財務」だけは300名を切ります。これは毎年同じ傾向です。年会費制なので、出席してもしなくても会費の額は同じですから、「会計・財務」に関心のある人が少ないということでしょう。

会計の本を10冊出している筆者は「法学部卒」

私は、以前、明治大学の会計大学院で特任教授として、管理会計や財務諸表の読み方などを4年間教えていました。会計の本も10冊ほど出しています。また、現在は名古屋大学経済学部の客員教授をしており、経済に関する本もやはり10冊ほど出しています。

ただし、大学は法学部卒で、会計学や経済学はほとんど独学です。銀行に就職し、アメリカのビジネススクールに留学していた時に、会計と経済学を「さわり程度」に数コマ習った程度です。もちろん、その後、経営コンサルタントとして顧客にアドバイスするために実践で役立つように勉強しました。

今回は、その会計に関して、これまで敬遠していた皆さんに勉強のコツをお話しましょう。