急伸モンゴル企業が目指すのは「古き良き日本」だった
昨年に引き続き今年も、モンゴルの企業グループ「タワンボグド・グループ」から直接依頼され、約400人の経営幹部を対象とした講演をしてきました。
この企業グループは19社から構成されていて、銀行(日本のHISとの合弁)、世界有数のカシミヤ製造・販売、トヨタ車のディーラー、建機販売、ホテルのほか、レストラン(日本料理店含む)、ゴディバ、ロクシタン、ケンタッキーフライドチキンなどのお店を手がけています。人口約310万人のモンゴルで1万1000人の社員を雇っており、モンゴルでは著名な企業グループです。
その企業グループが、なぜわざわざ私に講演を依頼したのか。
それは昨年、このグループを一代で築き上げた代表のバータルサイハンさんが、日本経済新聞で私のことを知ったからでした。バータルサイハンさんは現在50代のモンゴル人ですが、日本の電気通信大学に留学した経験があり、日本語が堪能です。現在も日経の電子版を毎日丹念に読んでおり、そこで見かけた「お金を追うな、仕事を追え」という私の記事が目にとまったそうです。
講演の会場は、昨年も今年も、大草原に観光用に建てられたゲル(テント)というモンゴルらしいものでした。グループ企業は首都のウランバートル市内に集まっていますが、普通の会場では気分が変わらないからと、市内から数十キロ離れた郊外の施設を使用したのです。
昨年の講演のテーマは「お金を追うな、仕事を追え」でした。午前と午後にわけて、通訳を交えながら計6時間の講演をしました。長時間になりましたが、皆さん非常に熱心でした。
▼「お金を追うな、仕事を追え」の意味とは
この「お金を追うな、仕事を追え」という言葉は、8年前に99歳で亡くなられた曹洞宗円福寺(長野県篠ノ井)の藤本幸邦老師に教えていただいた言葉です。老師は曹洞宗大本山・永平寺の最高顧問を務められた方で、私の人生の師匠です。
この言葉は私のビジネスに関する考え方の原点のひとつです。このため今でも老師がはじめられた円福寺のボランティア活動の東京事務局長をさせてもらっています。
私は現在、6社の社外役員、5社の顧問をしています。また、会員制の経営セミナーを主催しています。受講する会員は、経営者を中心とした約450人です。そこで気付くことは、大成功している人は「考え方」の基本がしっかりしている、ということです。
つまり「自分(自社)だけが良ければいい」「金もうけが目的」というのではなく、まさに「お金を追うな、仕事を追え」を実践している人たちが、結果的に高いパフォーマンスを上げているのです。モンゴルで大成功を収めた経営者もこの経営哲学に共感してくれたということを私はとてもうれしく思いました。