企業の決算書をどう読めばいいのか。いくつかのポイントさえおさえれば、決算書は決して難解な書類ではない。雑誌「プレジデント」(2018年3月19日号)では、特集「会社の数字、お金のカラクリ」で、決算書を読解するイロハを解説している。担当編集者から、その読み所を紹介しよう――。

経営幹部になる人もならない人も必須

決算書を読むのに苦手意識を持つビジネスマンも少なくない。だが、経営コンサルタントの小宮一慶氏はいう。

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「経理担当者でなければ、決算書をつくれるようにならなくても構わない。しかし、本気で経営幹部を目指そうとしているのなら、決算書から会社の現状や問題点を読み込めるようになる必要がある」

とはいえ、猛勉強する必要はないという。

「貸借対照表から会社の『安全性』、損益計算書からは『収益性』、そしてキャッシュフロー計算書から『将来性』などを、最低限読み取れるようにすれば、それで十分」(小宮氏)

ありがたいお言葉である。

自分が経営幹部になることはないし、通常業務をしっかりこなせれば、決算書なんて不要だ、なんて思った人はいないだろうか。だが、いざ転職しようと考えたとき、同じ業種、同じ規模の企業でも、上記の「安全性」「収益性」「将来性」がまったく違うケースだってある。

グロービズ経営大学院の佐伯良隆教授は「過去10年間、最低でも5年の長さで企業の決算書の各項目の変化をとらえることが重要だ」という。

上場企業であれば、有価証券報告書は企業HPから確認できる公開情報だ。これをしっかりチェックするのとしないのとでは、転職した後の明暗を分けることになる。誰にとっても決算書は他人事ではないのだ。