※本稿は、山口揚平『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
圧倒的に稼ぐ人は「たった一つ」を行う
考えるという作業は、情報の波に逆らう行為である。
一見苦しく見えるのになぜそうまでしてするのかと言えば、考えることは、最も効果的な行為だからだ。あらゆる物事に対して使える最強のスキルとも言える。
考えることについて本格的に考え始める前の私は、圧倒的に稼いでいる人や仕事で卓越した成果を挙げている人を見て「なぜ彼らはそんなに効率的に仕事ができるのだろう?」と思っていた。圧倒的な速さで効率的に仕事を処理する能力を持っているのではないかと考えていたのだ。
しかし、後にこの問い自体が不正解であることに気がついた。彼らは常に、たった一つ決定的に大事なことだけを見抜き、それを確実に実行していたのである。
彼らは決して「効率的」な人たちではなかった。ただ、とても「効果的」なやり方を知っていた。たくさんのことを行うのではなく、本質を考え抜き、たった一つのことを行うことで、結果的に効率性をもたらしていた。
100のタスクではなく1の因子に注力する
彼らは目に見える問題に目を向けることを嫌う。表面的な問題に一時的に対処したとしても、必ず同じ問題が発生することを知っているからだ。すべての問題の裏側には一見、目に見えないものの本質が常に存在している。だからこそ、その一点の追求に時間をかける。ゆっくりと問題の根っこを突き止め、一気に問題の息の根を止めることができるのだ。100個のタスクをこなすのではなく、たった一つの最も重要な因子(レバレッジ・ポイント/ホットボタン)を見つけてそこに注力すること、それが彼らの方法だった(図1)。
対象を俯瞰し、一見関係のなさそうなものの因果関係(有機性)を見抜き、「本質」を捉えることで行うべきことを極力減らし、成果を高めることができる。
これが考えることの最大のメリットである。