頭の良い人は、英単語の暗記に時間をかけたりはしない。「語源」についての本質的な知識があれば、意味は推察できるからだ。事業家・思想家の山口揚平氏は「頭の良い人はそうしたメタ(抽象的)な本質を押さえているから、枝葉末節の問題にわずらわされずに済む」という――。

※本稿は、山口揚平『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

「輪郭」を明らかにすれば物事が理解できる

「物事を理解するとはその輪郭を明らかにすること」

これは私が絵の先生に教わったものだ。対象を正確に描くためには、対象そのものではなく、輪郭と周辺を描きなさいということを意味する。

輪郭を明らかにするためには4つの切り口がある(図表1上)。

1.背景・原因を考察する
2.対象がもたらす結果・意味を考察する
3.対象の下位概念を分解して、より具体的な内容を詳しく考察する
4.対象の上位概念、またはその上位から見つめた対象と同レベルにある対象物を考察する

今紹介したこの4つの切り口を、「英語」の輪郭をつかむことに応用すると、次のような方法が考えられる(図表1下)。

1.文法の本質や語彙の語源を知る
2.ネイティブの文章構成や発話を感覚的につかむことに注力する
3.分厚い文法書と辞書の内容を自分なりに整理する
4.ラテン語を勉強する。またはそこから分化した英語以外のインド・ヨーロッパ言語(スペイン語、フランス語、ドイツ語など)の違いの発見に努める

理想はこの4つの切り口をすべて考えること。それが英語習得の最短方法だと思う。何かを考えるときに最も重要なことは「垣根を設けないこと」である。

頭の良い人ほど単語を覚えない

英語学習のつながりで話をすると、単語の覚え方に、「語源」から覚える方法がある。単語の根源的意味を知っていれば、知らない単語の意味も推察できる。

たとえば「sub」の意味は、「下(の)」である。「subway(サブウェイ)」の意味は、sub(下の)way(道)で「地下鉄」、「submarine(サブマリン)」は「海の下」で潜水艦、「subliminal(サブリミナル)」が「潜在(下の)意識」と類推できる。

さらに本質を考える人は、アルファベットごとの意味も知っている。

たとえば、bは存在や肯定、向上、成長などを意味し、dは欠乏や否定を表す。だから単語の頭にbが使われていれば、自然に「ああ、何か肯定的、前向きな意味なんだな」と感じることができるし、d~とくれば「なんとなく、悪い意味だぞ」と推測できる。抽象性は高いが、本質的であるからこそ応用がきくのである。

頭の良い人は、極めてメタ(抽象的)な本質をいくつか押さえており、そこから枝葉末節の問題を難なく解決してしまうものなのだ。