表出的な問題への対策は「対症療法」にすぎない

本質を見抜くと成果を挙げやすい(画像=『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』)

多くの人は何らかの成果を挙げようとして様々な問題に対処しようとする。しかし、そうした問題は大抵の場合、テコで言う「支点に近い部分」に位置する表出的問題である。表出的問題への対策のことを対症療法というのだ。

メタ思考ではテコの支点からより遠い本質的問題に対して、したたかにメスを入れる。つまり、核心を突くということは「ここを変えれば最も大きく動くだろう」というレバレッジ・ポイントを見つけることである(図表2)。

レバレッジ・ポイントを見抜くことは、当たり前だが簡単ではない。ただ、そうかと言って表出的問題ばかりに手をつけるのもコスパが悪すぎる。

目に見える問題にはできるだけ触れてはならない

山口揚平『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』(プレジデント社)

目に見える問題は取り組みやすいが、それに対して一生懸命対処しても、結果として得られる成果は小さい。しかも物理的に相当大きな力を加えなければならないし、それで一定の成果を挙げたとしても、問題の根源にメスを入れていないので必ず新たな問題が出てくる。そして結局、モグラ叩きをするかのように、延々と表出してくる問題に取り組まなければならないのだ。

しかもモグラ叩きでは、「苦労>成果」という法則が成り立つ。レバレッジ・ポイントであるスイッチを切らなければ、いつまで経っても問題はなくならない。

よって、見えている問題にはできるだけ手を触れてはいけないし、仮にその場しのぎが必要だったとしても、目の前に見える氷山の下にある大きな氷の固まりを常に意識しなければならない。

山口揚平(やまぐち・ようへい)
事業家・思想家
早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院修士(社会情報学修士)。専門は、貨幣論、情報化社会論。1990年代より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと30歳で独立・起業。劇団経営、海外ビジネス研修プログラミング事業をはじめとする複数の事業、会社を経営するかたわら、執筆・講演活動を行っている。
(写真=iStock.com)
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