『千夜一夜物語』にまつわる不思議なシエラザードの数
世界的に有名な『千夜一夜物語』(英語版は『アラビアンナイト』)。イスラム世界における説話集だが、こんなあらすじだ。
昔々アラビアのある国に、インドや中国までも治めていたというシャフリヤールという名前の王がいた。ある日のこと、王の妻が不貞を働いていたことを知り、妻と相手の奴隷の首をはねてしまった。そして、次第に王は女性に対し強い不信感を抱くようになる。その憎しみは強くなるばかりで、その結果、新しい妻を毎日めとっては、翌朝になると殺すようになり、国民から恐れられる存在になっていった。
王と国のことを心配した大臣の娘シエラザードは、自ら王妃になることを決意する。彼女は最初の夜、シャフリヤール王にとてもおもしろい話を聞かせた。翌日、王はシエラザードを殺さなかった。話の続きを聞きたかったからだ。シエラザードは毎夜おもしろい話を続けた。
こうしていつしか千一夜が過ぎた。その頃には王の心の憎しみは消え、シエラザードを生涯の妻とした――。
今回は、この物語にまつわるおもしろい数字をご紹介したい。
まず、3ケタの任意の数字を用意する。あなたの好きな数でよい。ここでは「254」としよう。この数字を2つ重ねて6ケタにすると「254254」となる。この数字を「1001」で割る。すると不思議なことに元の数字「254」に戻ってしまうのだ(図参照)。これはどんな3ケタの数字を重ねた6ケタの数字でも同じだ。「918918÷1001=918」「467467÷1001=467」「325325÷1001=325」……。
この不思議な数字(1001)を、「1001=千一」にちなんで「シエラザードの数」と呼ぶ。