微分積分に関係する不思議な数「ネイピア数」
金融商品の金利には「単利」と「複利」があり、複利のほうが得だ。単利は預けた元本にのみ利息がつくのに対し、複利はついた利息が元本に組み込まれ、その元利合計に新たに利息がつくからだ。
元本100万円を、年利7%の1年定期(複利)に10年預けたとする。1年後は「100万×1.07=107万円」、2年後は「107万×1.07=114万4900円」……、10年後の元利合計は約196万7000円となる。
では、100万円を同じ年利7%の1カ月複利で運用するとどうなるか。この場合は「7%÷12カ月=0.5833%」の利息が元利合計に毎月つく。ということは1カ月後は約100万5800円、2カ月後は約101万1700円……と増え、10年後は約200万9000円になる。利息がつく期間を短くすることで、複利効果が高まり預金は増える。
同じように100万円を1日複利、1時間複利、1分複利……と無限(∞)に短くしていくと、元利合計も大きくなるが、無限に増え続けるわけではない。今回の場合、201万3752円で頭打ちになる。
どうやって計算したら、その数字が出てくるのか。ここでキーになるのが「ネイピア数(e)」だ。数学者のジョン・ネイピアの名前にちなむが、ネイピアが発見したわけではなく、1614年にネイピアがつくった「対数表」を、134年後の1748年にレオンハルト・オイラーという数学者が分析してeを発見した。eは「自然対数の底」ともいい、「2.71828182845……」と無限に続く無理数であり超越数。数学定数として記号eと表される。