難関中学に合格する子どもはどんな勉強をしているのか。妻と8人の子どもの10人暮らしである会社員のオトクサさんの家庭では、日常生活の中で自然と学びの機会を作っていたという。著書『通塾なしで開成合格!中学受験おうち勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、一部を紹介する――。(第1回/全2回)
窓のそばの学習机
写真=iStock.com/Toru Kimura
※写真はイメージです

父も「塾なし」で国立大学に合格

ネットで「オトクサ」と検索すると「何者」と出てきます。皆さんも私のことを「何者?」と思っているかもしれませんね。子どもの中学受験について語る前に、まずは自己紹介から始めたいと思います。

私、オトクサも中学受験の経験者です。進学先は面倒見のいい学校であったこと、先生を信頼していたこともあり、大学受験では、先生から推奨された問題集と赤本中心の「塾なし」受験で、無事大阪大学に合格することができました。

大学時代は、自分が中学受験時代に通っていた塾(浜学園)のライバル塾(希学園)でアルバイトをしました。

こう書くと「なんだお前、“塾なし”ってのはつまり、自分が塾でバリバリ教えてたから子どもにも教えられたのか」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。テストや自習室の監督が中心の業務でした。とはいえ、受験生でも保護者でもない立場で中学受験の世界を見た経験が役立ったのは間違いありません。

7人のきょうだいに囲まれながら中学受験

今は普通の会社員です。どうやら、子ども8人=金持ち、塾なし勉強=時間の融通がきく自営業、と連想する方が多いようで「オトクサ 職業」もなぜか検索されています。

在宅勤務の日もありますが、基本的には通常の会社勤めをしており、「子どもの勉強が何より優先」という考えは持っていません。むしろ、飲み会と麻雀と競馬が趣味で、その隙間に勉強を見ることがあるという、受験生保護者としては「ダメな部類」の父親なのだと自覚しています。

そんな父親が、なぜ「通塾なし」という選択をしたのか。その理由と実践方法についてお話ししていきます。

中学受験をする小学6年生にとって、夏休みは天王山と言われるくらい大事な時期です。秋以降は過去問演習が中心となるため、まとまった時間が確保できる夏休みが、単元別の総復習・苦手克服の最後のチャンスとなるためです。

しかしオトクサ家の場合、この大事な時期になんと8人目となる赤ちゃんが生まれました。一番上と一番下が女の子、間の6人が男の子という大家族の中で、長男は受験勉強に取り組むことになったのです。