数字の意味をざっくり掴む「データセンス」能力

「データセンス」――。聞き慣れない言葉かもしれない。しかし、8年前から社会人に数学を教えてきたなかで、それを身に付ける必要性を感じている。

意味は文字通りで、データは数字や情報、センスは感覚や感性のこと。つまり、数字に対する感覚といってもよい。飲み会の割り勘で求められる計算は、「1人2994円ね」という正確さではなく、「1人3000円ね」というざっくりとした結論だ。おおまかに数字をとらえること。これがデータセンスの第一歩だ。データセンスは日常生活やビジネスで「役立つ」ことを主眼に置いた数学の活用術である。

2018年7月21日付の日本経済新聞に、米経済誌「フォーチュン」が発表した2018年版の世界企業500社の売上高番付「フォーチュングローバル500」が掲載された。世界1位は5年連続で米小売大手のウォルマートで、売上高は5003億ドル(約56兆5340億円)。読者はこの数字から何を読み取るだろう。正直、「すごいな」という感想はあるものの、金額が大きすぎてピンとこないのではないか。

実はどんな数字でも、多くの人は「見る」ことはできても、「読む」ことはできていない。数字のなかにはさまざまな情報が入っている。それを一般常識や自分の働く業界の常識などと照らし合わせていくと、いろいろなものが見えてくる。つまり、数字を読み解くことができるのだ。