2008年、「湾岸再生」を掲げた橋下徹大阪府知事は、財政再建下の新庁舎建設を断念し、大阪市が開発に失敗した湾岸のWTCビルを府庁舎として購入する、という仰天プランを打ち出した。しかし府議会からの際限のない問題点指摘を受けて、当初案はいったん否決となる。東京都の築地市場豊洲移転問題とも共通する「失敗の法則」を、いま、橋下氏が振り返る。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(12月18日配信)から抜粋記事をお届けします――。

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新庁舎建設はありえない! そこで浮上した「WTCビル買収案」

大阪城のすぐ横にある現大阪府庁舎は大正15年に建てられたもので、よく言えば重厚な歴史的建造物。しかし実態はボロボロで行政事務をやるには非常に非効率。ゆえに大阪府庁職員はもちろんのこと、大阪府議会議員も新庁舎の建設を心待ちにしていた。土地も大阪城周辺に十分に確保していて、あの東京都庁舎に対抗しようとしたのか、黒川紀章さんに、新・大阪府庁舎を中心とする街づくりデザインを依頼していて、既にそれはできあがっていたようだ。

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ところがそれに強烈に待ったをかけていたのが、当時、自民党の若手府議会議員、今は大阪府知事、日本維新の会代表の松井一郎さん一派だった。大阪府の財政状況からして、そんな立派な庁舎を建てるのは許さない! とやっていたんだよね。自民党重鎮たちからは疎まれていた。

そんな状況の中、僕が知事に就任し、財政改革、行政改革の旗を振った。府民への補助金まで切り倒したんだから、当然、大阪府庁舎の新建設なんてあり得ない。当時、職員から色々数字を聞いたけど、当初の計画通り作ったら1000億円以上の建設費になるって言われた。

僕は「新庁舎の建設は凍結」と号令をかけた。落胆した職員や府議会議員は多かったと思う。

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※写真はイメージです(写真=iStock.com/aduchinootonosama)

そこで僕は、大阪湾岸部に大阪市が建てたWTCビルに目を付けたんだ。このWTCビルは、地上55階建てで高さ256メートル。あべのハルカスができるまでは西日本で一番高いビルだった。建設費は約1200億円と、ほんとバブリーなビルだよ。1階から3階くらいまでは巨大な吹き抜けに商業施設が併設。最上階には展望台もあるし、報道では大阪市職員用の豪華なラウンジまで備えられていたというニュースも流れていた。

大阪市の大阪湾岸未来都市構想(テクノポート構想)の一環として、貿易センタービルにするつもりだったんだけど、みごと破綻。テナントも付かず、破たん処理が行われていた。

このときに、僕はこのWTCビルを大阪府が買うことを考えた。このバブリーなビルの価格の見立ては100億円を切るというものだったからね。

1000億円以上はかかるだろうと言われていた大阪府庁舎の建て替え問題と大阪湾岸部の埋立地の再生問題を解決し、そして大阪府が大阪市の巨額破たん処理をサポートするという意義のある大阪府によるWTCビルの購入。こういう発想は役人からは絶対に出てこない。まさに政治にしかできない発想だ。

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橋下徹公式メールマガジン 好評配信中!Vol.133は12月25日配信予定
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