2025年の「大阪万博」開催が決定した。政府や大阪府・市、経済界が一体となった招致活動が実った結果だが、これによって「大阪都構想」の必要性が証明されたと橋下徹氏は断言する。その理由とは? プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(11月27日配信)より抜粋記事をお届けします――。
2025年国際博覧会(万博)の開催地が大阪に決まり、喜ぶ(右2人目から)松井一郎大阪府知事、誘致委員会長の榊原定征経団連前会長、世耕弘成経済産業相ら=11月23日、フランス・パリ(写真=時事通信フォト)

完全にダメダメだった大阪が復活した理由

2025年の大阪万博の開催が決定した。前回の1970年の大阪万博以後、大阪経済は衰退の一途をたどり、日本における第二の都市と言われながら、東京との差は広がるばかり。この数十年間、大阪の再興が叫ばれ続けてきたが、それらしい雰囲気を出すことすらできなかった。

しかし、今、大阪は動き始めている。大阪を訪れる外国人観光客の増加率や、ホテル稼働率、百貨店の売り上げの伸び率、地価の上昇率は日本の中でもトップクラスに入っている。

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この万博会場兼IR誘致予定地は、6000億円とも言われる税金を突っ込んで大失敗し、そのまま放置されている埋め立て地だ。夢洲(ゆめしま)と名前が付けられているが、ブラックジョークならセンスがいい(笑)。この夢洲とその周辺の埋め立て地も含めて、大阪市は未来都市構想を描いたが失敗。その後、オリンピック招致にも失敗。大阪湾岸部は完全なる負の遺産と化していたが、今回の万博決定によって、それが宝の土地に蘇るチャンスを得た。

僕が大阪府知事に出馬した2008年の大阪は完全にダメダメモードだった。府民も負け癖がついているというか、大阪は何をやってもダメだろうという雰囲気だった。それが徐々に上向き加減になってきたところで、万博という明確な希望的目標ができた。これからの大阪は2025年に向けて完全にトップギアに入る。うちの子供ですらワクワクすると言っている。都市を活性化させるには、このようなワクワク感が最も重要だ。自称インテリたちが言う小難しい話ではなく、そこに住んでいる人たちの前向きな「気持ち」が街の活性化の原動力だ。

今回の万博決定にあたっては、何よりも安倍政権の力が大きかった。松井一郎大阪府知事と菅義偉官房長官の強力な人間関係によってこの話が動き出し、安倍晋三首相の大号令によって日本政府が一致団結して動いてくれた。世耕弘成大臣率いる所管省庁の経済産業省のみならず、外務省や世界各国の在外公館、そしてその他関係する省庁も怒涛のごとく動いてくれた。政府から経済界への協力要請もきっちりと行われ、経団連(日本経済団体連合会)や関経連(関西経済連合会)をはじめとする経済団体も一丸となってくれた。やっぱり日本全体が一つになって動くと、物凄い力を発揮するんだよね。

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