国会で野党は、政府のデータ集計のささいなミスをあげつらうことで仕事をした気になっている。こうした悪癖を捨て、本質的な政策論争に持ち込むにはどうすればいいか。橋下徹氏が実践的な国会改革論を披露する。以下はプレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(11月20日配信)の抜粋記事だ。

公務員の職場こそ「働き方改革」が必要だ

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Boomachine)

外国人労働者を受け入れるための出入国管理法改正をめぐって、また国会が紛糾している。失踪した技能実習生から聞き取り調査した結果をまとめた法務省の資料に誤りがあり、野党はそれを追及している。

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こうしたデータ集計ミスをなくすにはどうすればいいか? データ集計なんて典型的な事務処理作業だけど、そもそも霞が関の官僚は、事務処理能力は日本の中でもぴか一の面々のはずだ。今の入試や公務員試験は、事務処理能力が高い者が突破できるもの。事務処理能力は企画力、創造力、経営力などのクリエイティブな能力とは別だけどね。その彼らが事務処理作業の典型であるデータ集計でミスしてしまうというのは、単に時間、人手が足りないだけだろう。クリエイティブな仕事は、時間をかけようが、人手をかけようが、成果に単純に繋がるものではないけど、事務処理作業は、時間をかけて人手をかければ、ミスをなくすという成果に繋がるものだからね。

ところが、公務員の数をどんどん増やすわけにはいかない。そうであれば、無駄な仕事は徹底して省き、必要な事務処理作業に力を集中させるという公務員の徹底した「働き方改革」が必要なんだよ。

今、安倍政権は「働き方改革」という旗を振っている。安倍政権が提案した法案について野党は色々と反対していたけど、効率的な働き方を目指していかなければならないという点では野党も賛成のはずだ。

そして今、日本の世の中で最も不合理、非効率な働き方をしている職場は霞が関を筆頭とする公務員の職場じゃないかな。特に国会対応、国会議員対応に追われる霞が関。だから、今の人員で、政府の事務処理作業のミスを極力防いでいくには、霞が関の働き方改革こそが必要で、しかも霞が関の職場は、あまりにも時代錯誤な状況だから、ちょっと改革するだけで物凄い効果が出ると思う。まさに、たっぷりと絞る余地がある雑巾状態だね。他方、トヨタ自動車を筆頭に民間企業の多くは、徹底した改革を重ねてきているので、既に雑巾を絞りまくっている状態で、さらに絞るのは非常に困難な状態。そういう意味で霞が関の働き方改革なんてほんと簡単なことなんだけど、政治が腰を上げないんだよね。

まず、徹底したペーパーレス化、電子化をやれば、どれだけ効果が出ることか。政治行政の世界では、何か会議をやるたびに既に電子化されているものを紙に打ち出し、大量にコピーして「紙」資料を作るので、それだけで膨大な時間と人手が取られる。しかも公務員は超まじめだから、インデックスなんかも付けてくれちゃうんだ。訂正があれば、その都度、資料の作り直し。直したところだけ配布するってわけにもいかず(まあ、それでもいいと思うんだけど)、結局一から紙資料を作り直す。ほんと無駄。配布資料なんかマル秘のものでなければ、電子化されているものをクラウドに放り込んでおいて、あとは会議メンバーがそこにアクセスすればいいだけなんじゃないの?

全て電子化・クラウド化されれば、検索も資料作りも超便利になるはずだ。情報公開にもきちんと対応できるよ。

これくらいのことは、ちょっとした法律改正や規則改正ですぐにできるのだから、与野党協力して即時改正、実行すべきだ。そして効率化によって生み出された時間をもって、官僚たちにはミスのない事務処理作業という本来の官僚らしい仕事に徹してもらうべきだ。

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