夜も眠れないような困難に直面したとき、「名トップ」と呼ばれる人たちは、なにを考え、どう動いてきたのか。「プレジデント」(2017年3月20日号)では、エステー、大和ハウス工業、ポルシェジャパンのトップに、場面別の対処法を聞いた。第3回は「仕事の約束が果たせない」について――。
QUESTION
仕事の約束が果たせない
ポルシェジャパン・七五三木敏幸 社長の答え
心の中では自己中になって責任転嫁。究極のポジティブシンキングで

「今月だけがダメだった」と思っていた

仕事の約束が果たせないことなんてしょっちゅうありましたよ。営業本部長をやっていましたから目標の販売台数に到達しない現実が毎月押し寄せてくる。

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「今月のターゲットは600台。おまえは今何台だ?」「584台です」「残り16台、どうするんだ」って。それで翌月の1日になってみれば結果2台足りない。そんなことがほぼ毎月繰り返されるわけです。

仕事のコミットメントが週単位である人もいれば、年1回の人もいれば、10年に1回という人もいるでしょう。人それぞれですが、短いスパンでコミットメントが設定されていれば、守れないケースだって当然出てくる。それでいちいち悲観したり、自分の能力を低く見積もってしまうと、目の前の仕事にも影響してきます。反省は必要ですが、すぐに次のコミットメントに向けて動き出さなければならないわけですから、切り替えることも大切です。

「今月だけがダメだった」。私はいつもそう思っていました。ついでに責任転嫁する。「今回はあのディーラーが売らなかったからだ」とか「最後にインセンティブを出したけど、それが1週間遅かったからだな」と。

私は違いますけど、営業マンというのは自己中が多い(笑)。私が見たところ、優秀な営業マンほど自己中ですね。ある後輩の営業マンがいて、優秀なヤツなんですけど、何しろ言い訳がひどい。「すみません、聞いてくださいよ。これがこうだから……」と見事に全部他人のせいにする。「分析と称して人のせいにするのはやめておけ」なんて注意していましたけど、究極のポジティブシンキングだなとこっそり感心していました。