「時間」という資産は、誰にとっても有限だ。ところが、その使い方は人によって驚くほど違う。いつも時間が足りない人と、仕事が終わる人の違いはどこにあるのか。「プレジデント」(2017年3月6日号)より識者の助言を紹介しよう。今回は「自己啓発」について――。

「読書」はコストが安くて効率的

私はセミナーにはほとんど行きません。スキルや知識を学ぶのはもっぱら読書です。そのときの自分の関心にあわせて自由に選びます。ただし速読や乱読はしません。どんな本にも学びになる箇所があると考えているからです。また関心をもったジャンルに対して、最低3冊は関連書を読みます。

たとえば『君主論』では、翻訳の原著以外に3冊読みました。特に参考になったのは『マキアヴェッリ語録』(新潮文庫)。「非道の書」などといわれますが、「いいやつばかりではない。油断するな」という内容だと受けとめ、共感を持ちました。

ポイントは3冊に共通する部分です。共通しない点は、それぞれの独自の見解なので玉石混交。一方、共通する部分はエッセンスです。

そんな部分は200ページのうち10ページだけかもしれませんが、それでいいと思います。10ページでも参考になる部分がみつかれば、それは「いい読書」のはずです。