「時間」という資産は、誰にとっても有限だ。ところが、その使い方は人によって驚くほど違う。いつも時間が足りない人と、仕事が終わる人の違いはどこにあるのか。「プレジデント」(2017年3月6日号)より識者の助言を紹介しよう。今回は「孤独との闘い」について――。

トラブルを1人で抱え込んで処理する人の共通点

「管理職は孤独です。特に部下や、上司との関係性が薄いとそうなりがちです」

と語るのはベスリクリニック・マネージングパートナーの富岡一幸氏。特に、何か問題が起こったときに1人で抱え込んで処理するタイプは孤独になりやすいという。孤独に耐えられず、あがくとかえって孤独感が増すという悪循環に陥ることも。

では、どうすればいいのか。

「自分と物事を客体化して捉えることです」(富岡氏)

たとえば管理職に昇進し、新しいプロジェクトが上手くいかない場合、責任感のある管理職ほど自分と仕事を一体化しているため、仕事を否定されると自分を否定されたように錯覚してしまう。そのため、部下にも上司にも相談できなくなる。

「客体化」ができれば、プロジェクトの何がダメなのかという事実が見え、適切に対応できるようになる。自分と仕事、役職などを切り離して客観視すれば精神的なストレスは軽くなる。「大変な仕事」「つらい立場」も「大変」と「つらい」という感情を切り離せば、「仕事」「役職」という事実があるだけだ。

「事実の捉え方が大事。同じ状況に置かれても孤独と感じる人とそうでない人がいるのは、価値観が違うからです」(富岡氏)

客体化を得るのに有効なのが認知行動療法だ。この治療法では、ものの見方や現実の受け取め方(認知)を柔軟にし、ストレスを軽くしていく。