この先5年、日本経済はどのように変わっていくのか。雑誌「プレジデント」(2018年7月2日号)の特集「あなたは今、何を学ぶべきか」では、6つのポイントにわけて識者に解説を頼んだ。第2回は「年金」について――。(第2回、全6回)

年金積立金の6割は価格変動・為替リスクにさらされている

PART2:年金 為替の変動リスクにさらされる原資の積立金

老後の生活を支える公的年金が、世界マネーのリスクにさらされている。

公的年金は基本的に現役世代の保険料で給付を賄う「賦課方式」という仕組みで、少子高齢化により現役世代の負担は増える一方だ。年金に詳しい社会保険労務士の北村庄吾さんは、「2015年には高齢者1人を現役世代2.3人で支えていましたが、65年には現役世代1.3人で支えなければならないという試算もあります」という。

そこで気になる年金原資だが、保険料、年金の剰余金である積立金、国庫負担からなる。そのうち、バブル時代の莫大な蓄えが積立金である。16年度末のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の積立金は約153兆円にも上る。政府が掲げる年金の「百年安心プラン」でも、図1にあるように今後の給付を支える重要な柱の1つだが、大きな問題を抱えている。

「GPIFの運用ポートフォリオは、国内外の株式が45%を超え、外国債券も13%近くを占めます(図2参照)。いまは相場がよくても、重要な原資を為替や価格変動のリスクにさらすのは問題で、大幅に目減りする可能性があります」(北村さん)