年金支給開始年齢「●歳に引き下げると●歳で得する」早見表

つまり、虎の子の年金の一部の原資が世界的マネーのリスクにさらされているわけなのだ。そこで社会情勢に応じて給付額を削減できる「マクロ経済スライド」などが導入されているわけだが、北村さんは「65歳への繰り下げが決まっている年金支給開始年齢を、将来のリスクを考えて2~3年以内に欧米のような67~68歳まで繰り下げる議論が始まるでしょう」と読む。

現行制度で支給開始を70歳へ繰り下げると、男性の平均寿命である81歳まで生きなければ、65歳で支給を開始した場合の累計の年金額を上回ることができない(図3参照)。ましてや75歳まで繰り下げると、86歳まで生きないと上回ることができない計算だ。

北村さんは、「現役世代の防衛策としては個人年金や個人型確定拠出年金への長期加入がおすすめです。掛け金の税額控除があるし、利子も非課税なので、税効果を加味すると実質利回りは年10%超にもなります。ぜひ、そうした税効果に敏感になってください」という。また、現役時代から心身両面での健康を保ち、65歳、70歳になっても働いて稼げるようにして、「年金=お上」への依存度を低くすることも大切だろう。

北村庄吾
社会保険労務士
1961年生まれ。中央大学卒業。91年、法律系国家資格者の総合事務所Brainを設立。「年金博士」の名で知られる。主な著書に『定年前後のお金の手続き』など。
 
(撮影=石橋素幸)
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