この先5年、日本経済はどのように変わっていくのか。雑誌「プレジデント」(2018年7月2日号)の特集「あなたは今、何を学ぶべきか」では、6つのポイントにわけて識者に解説を頼んだ。第3回は「不動産バブル」について――。(第3回、全6回)
下位15%は「限りなく無価値になる」
PART3:不動産バブル 「五輪危機」を乗り越えて市場は3極化
2020年の東京五輪開催後に、バブル気味の不動産市場が弾けるのではと懸念する声がある。しかし、「そんな心配はありません」と話すのは、さくら事務所創業者会長の長嶋修さんだ。
「確かに五輪前後で景気は変動しますが、経済規模の大きな先進国では変動は小さい。12年のロンドン五輪では、英国政府が五輪が不動産市場に与えた影響は小さかったと報告しています。日本も同様でしょう」
また、長嶋さんは「物件価格と年収の倍率などをもとに計算したスイスの大手金融機関UBSのグローバル不動産バブル指数では、割高感はあるが、バブルのリスクは低いと診断されています(図1参照)」ともいう。
もっとも日本の人口は今後減少し、中長期的に不動産市場も縮小する。それでも全国一律に冷え込むわけではない。「不動産市場は3極化しています。上位15%は価値が維持ないし上昇する半面、中位の70%は緩やか(年率2~4%程度)に下落し、下位15%は限りなく無価値になります(図2参照)」と長嶋さん。