この先5年、日本経済はどのように変わっていくのか。雑誌「プレジデント」(2018年7月2日号)の特集「あなたは今、何を学ぶべきか」では、6つのポイントにわけて識者に解説を頼んだ。第5回は「人口減少」について――。(第5回、全6回)
PART5:人口減少 労働力不足を生産性アップでカバーして2%成長
2110年に日本の人口は約3分の1の水準へ減少する。これは国立社会保障・人口問題研究所が示した数字だ。当然、公的年金や医療保険など社会保障システムの根幹を揺るがす。
そんな厳しい現実を認めつつ、人口減で日本経済の成長が阻害されるという、「人口減少ペシミズム(悲観主義)」が台頭していることに警鐘を鳴らすのが、立正大学教授の吉川洋さんだ。
「1870年から百数十年間の日本の人口と実質GDPの推移を見ると、経済成長と人口はほとんど関係がないといっていいほどに両者は乖離していることがわかります(図1参照)。そして、経済成長率と人口の伸び率の差そのものが、労働生産性の成長にほかならないのです」
働く人の数が減れば、生産量も減るような気がする。しかし、機械導入によるオートメーション化などで克服し、生産量の拡大をしてきた。それこそが労働生産性のアップであり、「技術進歩=イノベーション」で実現されてきた。
もう1つ吉川さんは重要なことを指摘。それは労働生産性の伸びが、おおむね1人当たりの所得の伸びに相当することだ。