人工知能が人間の能力を上回り、多くの仕事が奪われる可能性が出てきた。一体、われわれ人間にしかできない仕事、役割とは何なのか。AI・ロボット研究の第一人者の2人に聞いた――。

AI・ロボット時代に武器になるのは「創造性と対人能力」

AIやロボットがわれわれ人間の脳の性能を凌駕し、雇用を奪うシンギュラリティの到来が現実味を帯びてきた。この論調が生まれたきっかけの1つは、野村総合研究所がオックスフォード大学のオズボーン准教授との共同研究の末、発表した研究結果にある。同研究所で主任コンサルタントを務める、岸浩稔氏は研究内容について、「日本版では、まず601の職業のAIやロボットによる代替可能性を算出しました。そのうち代替可能性が66%を超えた職業に就いている労働人口の合計が49%という結果でした」と解説する。

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注意したいのは、この分析は技術的な代替可能性を算出したものにすぎないという点だ。仮に技術的にAIを使えば人が不要になる職業であっても、実際にそれが導入されるとは限らない。技術面以外にも、「社会の受容性」と「経済合理性」という2つの壁をクリアしなければならないからだ。