「IoT(Internet of Things)」は日本でも一般的な言葉になりました。日本企業の過半が IoTの導入を検討しているといいます。しかし、その効果は企業内部の効率化に止まり、 新たな価値の創造には至っていません。日本総研の木通秀樹シニアスペシャリストは、その原因として「新たな価値の出し方が把握できていない」「仕組みを的確に把握できていない」の2点があるといいます――。
※本稿は、井熊均・木通秀樹著『大胆予測! IoTが生み出すモノづくり市場2025』(日刊工業新聞社)に加筆・再編集したものです。
IoTの波に乗り切れない日本
IoT(Internet of Things)の本格的な普及が始まり、2017年はIoT元年と呼ばれるようになりました。モノづくりの世界でも導入に取り組む企業が年々増加し、総務省の実施したアンケートによれば、17年は導入に取り組み企業が5割を超えるようになっています(図1)。
実体はどうでしょうか。IoTに取り組んではいますが、自社の部分的な改善・コストダウンにとどまり、なかなか効果が出ていないという企業は多いのではないでしょうか。先進的な取り組みで効果を出す企業がいる一方で、差が開いているのが現状です。
そこにはいくつかの理由がありますが、最も大きな理由はIoTに対する適切な認識が得られていないことではないでしょうか。特に重要なのは「新たな価値の出し方が把握できていない」、「仕組みを的確に把握できていない」ことです。具体的に見てみましょう。