KDDI、トヨタ自動車、応用地質の3社は、ビッグデータを活用して「国・自治体向け災害対策情報支援システム」を共同開発する。KDDIの携帯電話の位置情報を基にした人口動態データやトヨタのコネクテッドカー、応用地質が設置した雨量計や水位計などで収集したデータを分析し、災害状況を見える化する。

自然災害が増加しているのに自治体は少人数で対応

KDDIは4月24日、トヨタ自動車、地質調査大手の応用地質とともに国・自治体向けの震災対策システムを開発することを発表した。

KDDIは4月24日、トヨタ自動車、地質調査大手の応用地質とともに国・自治体向けの災害対策情報支援システムを開発することを明らかにした。

日本は災害大国と知られるが、特に2010年以降は大きな災害に見舞われている。2011年の東日本大震災をはじめ、長野北部地震、15年の関東東北地方の水害、16年の熊本震災、岩手県の水害土砂災害、鳥取地震、17年に九州北部地方の水害と土砂災害、秋田県の水害、18年には関東甲信越の雪害、福井県あわら市の雪害、大分県中津市の土砂災害と枚挙にいとまがない。

地震、台風、大雨、雪害、土砂災害などといった自然災害に対して国や自治体はインフラの整備、監視体制の強化、防災計画の策定などさまざまな合理化や全体対策を進めている。

しかし、実は国内の自然災害の概況で降水量の推移などを見ていくと、アメダス観測地点における1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、この10年あたりで20.4回増えている。ところが国や自治体が災害対策にかけられる人材には限りがある。市町村の土木費は22年間で約4.8兆円減少、土木部門の職員数では約27%が減少している。

「災害が増えているのに少ない人数で対応しなければならない」

KDDIのビジネスIoT企画部の原田圭悟部長はこう説明する。

そのため水害や土砂災害では、自治体の避難勧告や指示を出すのが遅れ、災害の拡大を招いたとの批判も相次いでいる。

そうした中で立ち上がったのがビックデータや災害対策のノウハウを持つこの3社だった。

従来の気象情報に加え、この3社のノウハウを活用、自動車や携帯端末、各種センサーなどから得られるデータを集めて情報密度の高い災害データベースを構築。ビックデータをリアル解析することで信頼性の高い災害情報をスピーディーに提供することができるようになるという。