2024年も押し迫ってまいりました。今年も政治家や芸能人、企業の中の人などなど、さまざまな人から多彩な「大人げない発言」が飛び出しました。
強烈な破壊力を持つ「大人げない発言」は、ある時は私たちをムカつかせ、ある時はあきれさせながら、今という時代を映し出してくれます。印象に残った言葉を眺めてみれば、2024年がどういう一年だったかが浮かび上がってくるはず。珠玉の「大人げない発言」からにじみ出る独特の旨味を味わいましょう(肩書は発言当時のもの)。
【政治家編】
「大人げない発言」といえば政治家のみなさんです。発せられた順に、どれもそれぞれインパクト抜群の発言を思い出してみましょう。
発言その①
「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」
by 麻生太郎自民党副総裁
【大人げなさ鑑賞ポイント】
「大人げない」と言えば、やっぱりこの人。自民党の麻生太郎副総裁は1月28日、福岡県での講演で、上川陽子外相が前年9月にアメリカを訪れた際の様子について、「そんなに美しい方とは言わんけれども、堂々と話をして、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん、会うべき人に予約を取っちゃう」と評しました。さらに「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」とも。
いちおうホメているつもりのようですが、「そんなに美しい方とは言わんけれども」という前置きは極めて失礼だし、「このおばさん」という表現もまったく必要ありません。「俺たちから見てても」の一節にも、「女性という下の立場にいる相手を偉い俺たちが広い心で認めてやる」という尊大な気配がにじみ出ています。女性を素直にホメるのは「男の沽券」に関わるという意識が骨の髄まで染み付いているのでしょうか。「大人げない」なんてカワイイもんじゃなく、差別意識と勘違いに満ちた極めて恥ずかしい発言と言えるでしょう。
発言その②
「道義的責任というのが何かというのが私はわからない」
by 斎藤元彦兵庫県知事
【大人げなさ鑑賞ポイント】
今年いちばんの「意外な出来事」といえば、パワハラや公益通報の問題で厳しい批判を受けて辞職した斎藤元彦兵庫県知事が、出直し選挙で謎の熱狂的な応援に後押しされて再選されたことです。選挙の不思議さと怖さをまざまざと見せつけられました。
この発言は9月6日、斎藤知事の疑惑を追及する兵庫県議会の百条委員会で、公益通報の取り扱いの妥当性や元県民局長が亡くなったことに対して「道義的責任を感じるか?」と尋ねられて、「道義的責任というのが何かというのが私はわからない」と答えました。本気でわからないのか苦し紛れの言い逃れなのかはわかりませんが、いずれにせよ常人の理解を超えたあまりにも強靭なメンタルです。大人げなさの破壊力を見せつけられました。
結局、疑問点だらけだった公益通報の取り扱いひとつとっても、再選によってうやむやになろうとしています。選挙戦でも、新たなツッコミどころや疑惑がたくさん生まれました。斎藤知事に投票したみなさんは、今、どういう気持ちでいらっしゃるんでしょうか。