「長期的に日本の労働力人口は将来年率0.6%のペースで減少していきます。その一方で21世紀に入ってからの経済成長率を見ると、これから1.5%程度の実質GDPの成長は十分に可能でしょう。この差を埋める約2%の労働生産性のアップを続けていけば、現在20代前半の人の生涯賃金は定年を迎える60歳のときには倍に増えている計算になります(図2参照)」

そこで重要なのが、イノベーションを起こすこと。日本はAI(人工知能)をはじめとする第4次産業革命への乗り遅れが指摘されているのだが、海外情勢に詳しい経済協力開発機構の東京センター所長を務める村上由美子さんは次のようにいう。

「少子高齢化による労働力不足は、AIを現場に導入して生産性をアップする絶好の機会をもたらしています。それと成年の日本人の読解力と数的思考力は世界一で、AIなど新しいツールを使いこなせる素養が十分にあるのです(図3参照)」

ぜひ、スキルアップに努めていきたい。

吉川 洋
立正大学教授
1951年生まれ。東京大学経済学部卒業後、ニューヨーク州立大学助教授、東京大学大学院教授などを経て現職に。『人口と日本経済』など著書が多数ある。
 

村上由美子
経済協力開発機構東京センター所長
スタンフォード大学大学院国際関係学修士課程修了後、国際連合、ゴールドマン・サックス証券勤務などを経て現職。著書に『武器としての人口減社会』がある。
 
(撮影=澁谷高晴、石橋素幸)
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