これから私たちの生活はどう変わるのか。マイナス金利の拡大や消費税の増税、東京五輪後の経済後退にどう備えればいいのか。経済・金融とお金の運用、家計の防衛策に詳しい3人の専門家に話を聞いた。

※本稿は、「プレジデント」(2017年11月13日号)の記事を再編集したものです。

(1)マイナス金利拡大
低金利で資産運用ができない

マイナス金利政策によって、金利の大幅な低下が銀行の収益悪化や不動産価格の高騰、資産運用難などの副作用を生んでいる。だが、日銀はマイナス金利政策のさらなる効果を目指し、金利をより引き下げる可能性がある。

▼大江コメント
日銀 黒田東彦総裁(AFLO=写真)

日銀がいくらお金を供給しても世の中にそれが十分出回っていないため、経済は活性化しません。併せて大胆な経済政策、成長戦略が必要なのです。黒田東彦総裁の任期は18年4月8日までですが、官邸の信任が厚いため、続投する可能性大。そうなれば、異次元緩和は継続されることになるでしょう。

ではどうするか。私は株式投資をおすすめします。ただし、日本株だけに集中するのはダメ。世界の1割程度のシェアしかありませんから、日経225やTOPIX(東証株価指数)などのインデックス投資でも、実態は日本という1つの市場で運用するアクティブ運用。中長期の資産運用は、世界経済の規模に合わせて日本以外の先進国株8割、新興国株1割、日本株1割といった国際分散投資が基本。毎月の積み立て投資なら平均購入単価を安くできるため、慌てずに継続しましょう。

結論:積み立てによる国際分散投資で、資産を増やせ

▼中原コメント

マイナス金利は、銀行の収益を悪化させて中小企業に対する融資のリスクを取りづらくし、不動産投資への融資が将来の不良債権予備軍に。さらに、マイナス金利によって年金や退職金の企業負担が重くなり、企業収益も圧迫されています。

資産運用はもはや金利で稼ぐのは困難。かといって米国株も日本株もすでに高値圏であまりおすすめできない。ですが、私は早ければ2018~19年にも米中の経済が大減速し、世界同時株安に波及すると読んでいます。08年のリーマン・ショック後、世界的な金融緩和により低金利が続いた中で、新興国も含めた世界中の国々で債務が増えすぎているからです。借金に依存する経済はいずれ行き詰まり、逆回転を始めるのは歴史が証明しています。ですから、株を買うなら景気後退期の最中の安いときが狙い目。18~19年は日経平均で1万6000円割れくらいの下げはあるかもしれません。

結論:近いうちに訪れる不況が、株の買いどき