(3)年金減額
年金はどのくらい減らされるのか

2016年末、年金改革法案(いわゆる年金カット法案)が成立した。たとえ物価が上がっていても、賃金が下がれば、年金支給額はカットされる。適用は2021年4月からだ。老後不安はますます高まりそうだ。

▼中原コメント
時事通信フォト=写真

年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられ、最終的には75歳にならないと帳尻が合わない。そのために、政府は75歳まで働ける環境の整備に力を入れ始めるでしょう。ですから、もう覚悟を決めて「年金が減っても自分で稼げばいい。生涯現役のほうが人生を楽しめる」くらいポジティブに考えましょう。労働人口は減っていきますから、75歳まで働ける仕事は結構あると思います。ただし、よりよい条件で働くためには、やはりスキルを磨いておくことが大切です。

では、どんなスキルがいいのか。注意したいのは、AI(人工知能)に奪われないスキルを選ぶこと。税理士や公認会計士、弁護士、弁理士などの士業は半分以上、AIにとって代わるでしょう。狙い目は、経営戦略策定、データ・サイエンティスト、マーケッター、商品企画、M&A支援など。きめ細かな心遣いが求められる接客・介護などの分野も有望です。

結論:AIに奪われない仕事は何かを、見極める

▼大江コメント

公的年金は盤石で、よく言われるように破綻寸前でもない。日本の年金制度は単年度決算で、毎年入ってくる年金保険料で年金を支払う仕組みになっています。たしかに今は少子高齢化で収支は赤字になり、これまでの貯金(約145兆円、2016年度末)から毎年5兆~6兆円程度が補填されています。ですが、一方でこの貯金が減らないように運用して増やしています。16年度の運用状況は約8兆円のプラス。

ただし、公的年金だけではゆとりある生活は難しいですから、自助努力は必要です。定年前後に訪れるのは、健康、お金、生きがい(孤独)という3つの不安。これらをなくす最善の方法は「可能な限り働き続けること」。頭を使って体を動かし、人と関わる機会が増えれば、認知症の予防にもなります。男性も女性も、最後に頼れるのはお金ですから、できる限り働き続けることが大切だと思います。

結論:定年後も働くことで、お金と認知症の予防になり一挙両得