(5)オリンピック
2020年以降、日本は不況に陥るか

五輪前は国のインフラ投資や五輪需要を見込んだ民間投資が前倒しで行われるが、その反動で開催後に投資が鈍化し、景気が低迷する。実際、都心部の不動産や建材の価格が高騰しているが、バブル崩壊が危惧される。

▼中原コメント
AFLO=写真

18~19年に米中経済が大減速すれば、20年の東京五輪の頃はすでに不況期に入っていて、今高騰している不動産価格も下落しているでしょう。超低金利環境は、相続税対策のアパート経営やサラリーマンの賃貸不動産経営に火をつけましたが、そのブームも間もなく幕を閉じます。問題は、これから本格的な人口減少が始まるのに、供給過多にある貸家の供給がさらに増え続けていること。すでに全国で820万戸の空き家があり、その半数超は貸家。遅くとも10年後には全国的に家賃が大きく値下がりします。

こうした状況を考えると、今後は住宅を買った価格よりも高く売れる可能性は極めて小さい。これからマイホームを持つなら、将来、高く売って利益を出そうなんて考えず、「家族と楽しく暮らす」ことを優先して選んだほうがいい。定年後もずっと幸せに暮らせるのか、などもポイントになるでしょう。

結論:賃貸経営や売却益狙いの不動産投資は、避けるべき

▼荻原コメント

「オリンピックの崖」なんて言われるように、五輪後に前倒し投資のリバウンドが一気に来るでしょう。では、オリンピック後の不況にどう備えればいいのか。その処方箋が企業も行っている「ダウンサイジング」。デフレ不況の中で企業がやってきたことは、内部留保の増加とコスト削減、借り入れ返済です。家計もそれと同じ。貯金と節約、住宅ローンの繰り上げ返済に励むべきです。

デフレの中では無理して投資しなくても、今あるお金を減らさなければいい。日本の金融機関は今、マイナス金利政策によって運用難に陥り、収益の悪化に苦しんでいます。そんな中で狙っているのが個人の資産。こういうと何ですが、まるであの手この手で手数料稼ぎを目論んでいるかのよう。商品の仕組みやリスクをよく理解できていないのに、「すすめられたまま手を出して大損した」なんてことにならないよう、注意してくださいね。

結論:五輪後不況に備え、今から家計をダウンサイジング