コーヒーチェーン「カフェ・ベローチェ」が、顧客満足度調査でドトールやスターバックスをおさえて首位となった。なぜ評価が高まっているのか。店舗運営コンサルタントの佐藤昌司氏は、「9割の店が喫煙可能で、完全禁煙となった他店から流れてきた人が、コストパフォーマンスの高さを評価しているのではないか」と分析する――。
カフェ・ベローチェ池尻大橋店(東京都世田谷区)。店頭に「喫煙可」のマークはないが、広めの喫煙席が設けられている。(編集部撮影)

3年連続で1位だったドトールは2位に転落

カフェ・ベローチェが、ついにドトールコーヒーショップを首位の座から引きずり下ろした。

日本生産性本部・サービス産業生産性協議会の「日本版顧客満足度指数(JCSI)」(2018年度第1回調査)で、ベローチェがカフェ部門の「顧客満足」で首位となったのだ。この結果、17年度まで3年連続で1位だったドトールは2位に転落した。

サービス産業生産性協議会「2018年度第1回 JCSI調査結果」より抜粋。

同調査では「顧客満足」を含む6つの指標がある。18年度の第1回調査結果では、「顧客満足」「知覚価値」「ロイヤルティ」の3指標でベローチェが1位となり、「顧客期待」「知覚品質」「推奨意向」の3指標でスターバックスコーヒーが1位となった。ベローチェとスタバが6指標の1位を独占したわけだ。

「ブレンド1杯200円」の強さ

なぜベローチェは、ドトールやスタバなどを差し置いて「顧客満足1位」を獲得できたのか。

まずは、低価格路線が広く受け入れられたことが挙げられるだろう。ベローチェの「ブレンドコーヒー」(Mサイズ)の価格は200円で、業界最低水準である。ドトールの「ブレンドコーヒー」(Sサイズ)は220円、Mサイズは270円だから、それよりも安い。ちなみに、スタバの「ドリップコーヒー」(ショートサイズ)は302円だ。

ベローチェはそれ以外のドリンクも安く、大半が200円台で、高くても300円台だ。こうした価格の安さが支持を集めた理由だろう。

また、食事メニューも低価格なうえに、充実している。カフェチェーンの定番であるホットドッグやスイーツ、サンドイッチに加えて、パスタまで取りそろえているのだ。

サンドイッチは、多くのコーヒーチェーンが出来合いの商品を販売しているなか、ベローチェは大半を店内で手作りしている。それでいて、ほとんどが200円台前半だ。パスタは500~600円台となっており、これも安い。競合のドトールにはないメニューで、対ドトールにおける差別化要因となっている。