これは、スタバとは対照的だ。スタバは知覚品質と推奨意向で1位だったものの、知覚価値と顧客満足では上位4社から外れている。これを一言でいうと「コスパが悪いのでそれほど満足できないが、商品・サービスの品質は良く、他人には推奨したい」ということになる。

スタバは商品・サービスの品質が良い(=知覚品質が高い)ことに加え、全国的に広く知られたブランドだ。そのため、他人に推奨する場合には「間違いのない選択肢」ということになるのだろう。

いずれにしても、ベローチェはコスパの良さを求める層に根強い人気があると考えられる。先述したとおり店舗数は約170店で、カフェチェーンで店舗数1位のスタバ(約1340店)や2位のドトール(約1120店)などと比べるとかなり少ないが、競合店が拾いきれない人たちを取り込む分には十分といえるだろう。

混雑するドトールの受け皿として機能か

今後の課題は、価格帯の近いドトールとの競合だろう。いまのところドトールが常に混雑気味であるのに対して、ベローチェは席数に余裕のある印象が強い。ドトールの混雑を嫌った人の受け皿として、機能しているのではないだろうか。多少の空席があっても利益が出る体質だとすれば、かなり手ごわい相手だといえそうだ。

ドトールの店舗数は、06年から現在までおおむね横ばいで推移し、飽和状態にある。当面、ベローチェは存在感を発揮することができるだろう。コーヒー1杯200円という圧倒的な低価格は、そう簡単にはまねできない大きな強みだ。今後も競争力の源泉であり続けることだろう。この状況下で、「顧客満足1位」をキープできるかが当面の焦点となりそうだ。

佐藤 昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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