職場でのコミュニケーションに緊張する人はどうすればよいか。心理カウンセラーの佐藤健陽さん・加藤隆行さんは「人が苦手という人は、全般的な人そのものが苦手といっているだけで、つながりや縁のできた人には優しくなるもの。ちょっとした挨拶などでよいので接触する回数が増えるように心がけるとよい」という――。

※本稿は、佐藤健陽・加藤隆行『緊張やわらぎメソッド 「失敗したらどうしよう…」が「まぁなんとかなる!」に変わる80の方法』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。

上司に「ちょっと話がある」と言われてドキっとする

丹田を意識して覚悟を「腹」で決めろ!

「何の話?」「何かやらかしてしまった?」と、一瞬ドキッとして身がすくみそうな場面です。いったい何だろうと頭の中でグルグル想像します。しかし、想像しても不安がおさまるわけでもなく、想像すればするほど、逆に悪い想像が膨らみ、ますます不安は増していきます。このときはまず、ジタバタしないように心がけてみてください。そして感情を抑えようとせずにただ感じる。不安なものは不安で当然。必要なことは、そこに向かう覚悟です。覚悟は「腹」で決まります。吐く息と共に重心を下げ、ヘソの下の丹田に意識を集中してみましょう。腹が据われば上司との話に臨む覚悟ができるでしょう。

これこそが「お腹で吸って口から吐く」
丹田集中法
丹田とは武術などにおいて「気が集まるところ」とされている体の部位。ヘソから三寸(約9cm)下辺りにあり、意識を向け続けていると心身ともに安定してきます。
方法
1 片手または両手を丹田に置いて温めるようにする
2 体の中にある空気をすべて口から吐き出す
3 鼻から腹に向けて息を吸い、細く長く口から吐く×10回
【マンガ】上司に「ちょっと話がある」と言われてドキっとする
出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

部下と話さざるを得ないのが負担…

ひとまずは最低限のコミュニケーションで

対人関係が苦手な人は、しばしば人と関わることの少ない仕事を選びます。そうして精神的負担の少ない環境を望みますが、人生の神様としてはそうは問屋が卸しません。どんな人でも、仕事で一定の経験を積むと人に教える立場にならざるを得ません。それを象徴するものが“昇進”です。アドラー心理学では、人生には仕事・交友・愛の三つの課題があるとしますが、ここで問われていることは仕事の課題です。上司としての理想は一旦置いておき、人間関係に慣れるまでは無理せず、必要なコミュニケーションを最低限こなし、仕事の課題を全うすることに集中しましょう。仕事にも部下にも真摯に向き合っていれば、物事は必ず良い方へと向かいますよ。

【マンガ】部下と話さざるを得ないのが負担…
出所=『緊張やわらぎメソッド』(小学館クリエイティブ)

何度も会っていれば親しみも生まれる
単純接触効果

心理学者R.ザイアンス氏が提唱。その人との接触回数が増えるほどに警戒心が薄れていき、親近感を感じるという効果です。当たり前といえば当たり前の効果ですが、人が苦手という人は、全般的な人そのものが苦手といっているだけで、つながりや縁のできた人には優しくなるものです。ちょっとした挨拶などでよいので接触する回数が増えるように心がけていきましょう。