※本稿は、大野栄一『できるリーダーが「1人のとき」にやっていること マネジメントの結果は「部下と接する前」に決まっている』(日経BP)の一部を再編集したものです。
「こうあるべきだ」が組織の活気を奪う
リーダーが「こうあるべきだ」という正義を押し付けると、部下たちの選択肢はひとつに限られてしまいます。このような指導は、一部の部下の共感を得られるかもしれませんが、それ以外のメンバーには窮屈さや不満を感じさせる原因となります。
上司が「この方法だけが正しい」と決めつけた場合、部下は自らの意思で考えたり行動したりする余地を失います。これでは、組織全体が停滞し、活気が失われてしまいます。
一方で、リーダーが「こうあるべきだ」を手放し、部下に自由を与えるとどうなるでしょうか。部下が自ら意思決定を行える環境では、自然と活気が生まれ、仕事に対する喜びや自主性が増していきます。
リーダーシップとは、リーダー自身の正しさを部下に教えることではありません。むしろ、自分自身の正義を疑い、部下とともに考え、成長していく柔軟性が大切です。

「好きにしていい」と自由は違う
リーダーが自分の思考を自由にすることで、部下にも自由な発想や行動を許容できるようになります。
部下の提案を積極的に受け入れたり、意思決定の場で意見を共有する機会を設けたりすることで、メンバーが自ら考え、行動する余地をつくり出すことができます。
逆に、リーダーが自身の正しさを押し付けると、部下はその枠の中でしか動けなくなり、自由な発想や挑戦が生まれなくなります。この状態では、組織としての成長や新しい成果を期待するのは難しいでしょう。
リーダーには、自分自身が思考の自由を持つだけでなく、組織にもその自由を提供する責任があります。部下に自由を与えるとは、単に「好きにしていい」と放任することではありません。
彼らの意見やアイデアを尊重し、ともに考え、意思決定を支えることです。