大戸屋とコロワイドの買収攻防戦が続いている。6月25日に行われた大戸屋の株主総会では、経営陣の刷新を求めるコロワイドの株主提案が否決された。その後、コロワイドはTOBを仕掛けている。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「新規事業開拓のためにリスクを負ってでも大戸屋を手に入れようとしているのだろう」と分析する——。
外食大手コロワイドによるTOBに反対を表明する大戸屋ホールディングスの社員=2020年7月17日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
外食大手コロワイドによるTOBに反対を表明する大戸屋ホールディングスの社員=2020年7月17日、東京都千代田区

当初は一致協力でてこ入れを図るかに見えた

定食店「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)と、焼肉店「牛角」などを展開するコロワイドの攻防が激しさを増している。当初は両社が一致協力して、不振に陥っている大戸屋のてこ入れを図っていくかに見えた。だが、コロワイドは徐々に野心をむき出しにして、TOB(株式公開買い付け)での大戸屋の子会社化を画策。これに大戸屋は反発し、敵対的TOBに発展した。はたしてどのような結末を迎えるのか。

大戸屋は業績不振に喘いでいる。価格の高さが敬遠され、客離れが起きた。既存店売上高は現在まで長らく前年割れが続いている。不振に喘ぐ大戸屋に手を差し伸べたのがコロワイドだ。同社は昨年10月に大戸屋創業家から株式を取得して筆頭株主になった。両社は関係を深め、協業で生じるコスト削減分を原資に価格を抑えることで集客を図り、それにより大戸屋の収益を改善させる方向で話を進めていった。