定食チェーン「大戸屋ごはん処」が客離れに苦しみつづけている。既存店売上高は12カ月連続で前年割れとなった。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「今の大戸屋は価格が高すぎる。負のループから抜け出すためには、筆頭株主になったコロワイドとの協業を深めるしかない」と分析する――。
2019年10月に復活した「大戸屋ランチ」
写真=大戸屋プレスリリースより
2019年10月に復活した「大戸屋ランチ」

「大戸屋ランチ」が実質790円になり、客が離れた

定食チェーン「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングス(HD)の苦境が続いている。1月の既存店売上高は前年同月比4.3%減だった。前年割れは12カ月連続になる。既存店の不振は長らく続いているが、特に今期(2020年3月期)が深刻で、19年4月~20年1月累計で前年同期比5.5%減と大幅マイナスとなっている。

今期の不振の原因は、昨年2月に表面化したアルバイト従業員による不適切動画の拡散、いわゆる「バイトテロ」でのイメージ悪化や、昨秋の台風19号による閉店で集客に苦戦したことが挙げられる。だが、やはり根本的な「価格の高さ」による客離れが大きいだろう。

大戸屋ではこれまでにたびたびメニュー価格の引き上げを行ってきた。昨年4月のメニュー改定では定食の一部を値上げしたほか、720円(以下すべて税込み)と安価で人気のあった定番商品「大戸屋ランチ」を廃止した。半年後のグランドメニューリニューアル時に復活したが、価格は790円と以前と比べて70円高くなっている。