このようにベローチェは低価格路線を歩んでいるわけだが、たとえ安くとも、それなりにおいしくなければ顧客から支持を集めることはできない。前出調査の「知覚価値」の指標をみると、ベローチェはその点も十分に満たしていることがわかる。
ここでの「知覚価値」は、コストパフォーマンスを示す指標になっている。18年度の調査結果で、ベローチェはドトールを2位におさえて1位となった。多くの利用者がベローチェに「価格以上の価値がある」と感じているのだ。
喫煙可能な店が多いのも、ベローチェの特徴となっている。ベローチェは現在全国に約170店を展開しているが、9割の店舗で喫煙ができる。近年、受動喫煙防止の観点から禁煙化を進める外食チェーンが相次ぐなかで、貴重な店だといえる。喫煙者と相性がいい居酒屋でも、「串カツ田中」が6月にほぼ全店で全席禁煙に踏み切っている。そうしたなかで、ベローチェが喫煙者の受け皿になっているのだろう。
喫煙可能な店舗では、パーティションで仕切る「分煙」を行っている。タバコの臭いを敬遠してベローチェを利用しない人は一定数いるはずだが、そこは割り切っていると考えられる。なぜなら前出の調査から、ベローチェの利用者はコスパ以外の点については、あまり気にしていないと推測できるからだ。そういった人を取り込めれば、経営は十分に成り立つのだろう。
「満足はしているがオススメはしない」評価
ベローチェに対する評価として興味深いのは、知覚価値と顧客満足、ロイヤルティでは1位だったが、推奨意向では4位までに入れず、「圏外」となっている点だ。これは「コスパがいいので満足しており、これからも利用したいが、他人に積極的に推奨できる店ではない」ということになる。
一見すると矛盾しているように思えるが、顧客は「自分にとっては満足できるカフェだが、他人が満足できるかはなんとも言えない」ととらえているのだろう。多くの利用者はベローチェに対し、コスパの良さを魅力として感じているが、そのことだけをもって他人が評価するとは限らない。つまり、ベローチェは必ずしも万人受けするとは思っていないと考えられる。