人から信頼されるにはどうすればいいか。明治大学文学部教授の齋藤孝さんは「相手の些細な出来事も覚えておいて、ほめることができるかどうかは重要だ。そのためには、ほめることを想定して『ここが良かった』と思う出来事を記録しておくといい」という――。

※本稿は、齋藤 孝『ほめるは人のためならず』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。

オフィスで会話をするビジネスマン
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ほめ言葉の出し惜しみグセがついている

「ほめる」=「ポジティブなことをすっと言葉にする」のは意外と難しいものです。

以前、学生が分担で台本を書いて、3人ひと組になり、『源氏物語』全54帖のショートコントをやることにしました。そこで、

「終わった瞬間に笑って拍手をする、そして“面白い!”とひと言言ってね」

こういう条件を出しました。

「どこが面白い」と意見や評価を言うのではなく、ただ、「面白い!」と言えばいいのです。自分の番も回ってくるわけですから、言ってもらった方がいいわけです。ところが、それが初めはなかなかできません。こんなに言いやすい状況なのになぜできないのでしょうか。言葉の出し惜しみグセがついているように見えます。

ご飯を食べて「おいしいね!」と同じで「面白い!」と言えばいいだけです。最初はいろいろなコメントを求めましたが、出てきません。

「ファンタスティック!」

これで行こうかと思いましたが、何だか不自然です。英語ではなく、国語の授業ですから。