部下のやる気を引き出す上司とは、どんな人か。長崎大学准教授の矢野香さんは「人間は、自分が決めたことに対しては“自分ごと”ととらえる。リーダーはそのために相手を巻き込むことが重要だ。トヨタが入社式で豊田章男会長らの愛車を並べ、新入社員に写真撮影を促したのは“自分ごと化”の典型だ」という――。
※本稿は、矢野香『偉ぶらないけど舐められないリーダーの話し方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
トップダウンでは若手が動かない理由
人は基本的に、自分が決めたことしかやりません。ですから、リーダーはメンバーに仕事を「自分ごと化」してもらう必要があるのです。
この原則を、子育てに当てはめて考えてみましょう。
例えば、ピーマン嫌いの子どもに、ただ「体にいいから食べなさい」と言っても、返ってくるのは反発だけです。しかし、一緒に畑でピーマンを育てたり、キッチンで料理したりすると、「自分がつくったピーマン(料理)だ!」と、喜んで食べるようになることがあります。人は、正論だけでは動きません。自分との関わりを感じたときに、初めて動き出すのです。
ビジネスでも同じです。リーダーが一人で決めた年間目標を理由も背景も語らないままトップダウンで示す。この伝え方では、特に今の若手は「やらされ感」を持つだけです。仕事ですから、行動はするかもしれません。しかし、その多くは「いやいや」あるいは「仕方なく」。自発性や工夫が生まれにくい状態だと言えるでしょう。

