「リーダーの決めたこと」から自分ごとへ
一方、関わらせる工夫をして伝えたらどうでしょう。例えば、会社の理念設定や年間の目標設定を考える場に、ワークショップ形式でメンバーが参加する。そこで決めた目標は、「組織やリーダーが勝手に決めたこと」から、「私たちが決めたこと」へと変わります。
すると、目標は与えられた指示ではなく、行動の理由になります。結果として、リーダーが声を荒らげなくても、メンバーは自ら動くようになります。
このとき、メンバーの意識だけでなく、リーダーに対する見方も変わります。「命令する人」ではなく、「みんなで決めた目標を代表して語る人」になる。この役割の変化こそが、人を動かすリーダーシップの秘訣です。
体験型の入社式で新入社員を迎えたトヨタ
「自分ごと化」を、巧みに実践しているのがトヨタ自動車です。
トヨタは、入社式で一般的な祝辞や式典だけでなく、新入社員を「クルマ屋の一員」として巻き込むための独創的な「体験」を用意しました。
まず、会場の外に、会長の豊田章男氏や社長の佐藤恒治氏をはじめとする役員たちの愛車14台をずらりと並べ、新入社員を出迎えました。トヨタに新たに加わる仲間に対して、「愛車公開」というサプライズを用意したのです。その上で、佐藤氏は次のようなスピーチを新入社員に贈りました。一部を抜粋してご紹介します(*)。
*トヨタ自動車株式会社「トヨタイムズ」〈「社長として私の最初の仕事です」 佐藤新社長から1440人へ、"クルマ屋"が贈る入社式〉
「皆さん、今日、来るときにたくさんのクルマが展示されていたと思います。あのクルマたちは、豊田会長、おやじの河合(満)さん、東(崇徳 総務・人事、現在は経理)本部長、そして執行役員の本物の愛車です。
今日が大切な日だからこそ、その思い出の真ん中にはクルマがあってほしい。クルマ屋の一員となったことを感じてほしい。そんな想いを込めて、私たちの愛車で皆さんをお迎えすることにいたしました。トヨタ、レクサス、CR。スポーツカーから小型車、SUV、トラックまで、多種多様な愛車があります。
トヨタがフルラインアップの会社であることが愛車からもわかると思います。それぞれのクルマへの想いや、皆さんへのメッセージも紹介していますので、後ほどゆっくりとご覧いただき、思い出の写真を撮ってみてください。そして、誰のクルマが一番カッコよかったかぜひ後で教えてください」

