チームで成果を出すには結束力や信頼が不可欠だが、それだけでは不十分だ。新しい課題、複雑な問題に取り組むには、柔軟性、創造性に加えて、外交力も必要である。

経営幹部向けの講座でチームについて教授するとき、われわれは「成功するチームをつくる要素は何だと思いますか」と、参加者に質問するところから始める。彼らの答えは見事なまでに一致している。明確な役割と目標、対立を解決する能力、信頼、チームスピリット、理にかなった決定、的を絞った課題、そして説明責任である。これらは正しいが、ほかにも大事なことがある。

チームには、内側を見ることに加えて、外に目を向けることも必要だ。高い成果をあげるチームは、組織の垣根を越えて必要な情報を入手し、自分たちがどのような文脈の中で仕事をしているのかを理解している。また、チームの活動を取り巻く駆け引きや権力闘争にうまく対処し、自分たちの案に対する支持を勝ち取り、チームの成功にとって重要ないくつもの他のグループと活動を調整する。つまり、外交活動を活発に行っているのである。このようなチームを、われわれは「Xチーム」と名づけている。

われわれの近著『X-Teams: How to Build Teams That Lead, Innovate and Succeed』の要点をまとめた本稿では、Xチームはどのような活動を行うか、Xチームを築くにはどうすればよいか、チームの成功の準備を整えるには何をすべきかを説明する。

Xチームの外交活動

Xチームは、次の外交活動を行う。

(1)調査活動(スカウト活動)
チームに期待されていることや情報の入手先、市場の動向などを把握するために、会社内外の状況を調査する。

(2)友好親善活動(大使活動)
組織の上層部に働きかけてトップマネジメントから信用と支援を勝ち取るとともに、味方と敵を常に把握しておく。

(3)調整活動
 組織内の他のグループと交渉して、彼らの協力と期限遵守の約束を取り付け、必要な場合は仕事の遂行を手助けしてもらう。