ベルコという架空の法人向け通信機器販売会社の例を使って、これら3種類の活動がチームの任務達成にどのように寄与するかを見ていこう。
まずは調査。ベルコは市場全般に向けた販売から、特定の顧客ニーズを満たすために数点の製品をセットにして販売するやり方に切り替えることにした。この変更の一環として特定の市場セグメントを担当するいくつかのチームが結成された。その中の「ビッグバンク・チーム」は、銀行業界を担当することとなった。
チームのメンバーは、当初は上層部から明確な指示がくるのを待つことにしようと考えた。しかし、チームリーダーが、社内の他のグループに出向いて、彼らがビッグバンク・チームとどのように協力したいと思っているかを聞き出すほうが、時間もかからず成果も大きいのではないかと提案した。
メンバーは少人数のグループに分かれて調査活動を開始した。技術支援、設置、営業などの部門の同僚に、「顧客への売り込みに際して助けが必要なときは、誰に連絡をとればよいか」「この種の顧客について協力するためには、われわれはどのような準備をすればよいか」等々の質問をしたのである。メンバーは、競争相手や顧客や市場専門家に対しても調査を行った。
未開の地でのスカウト隊の任務は、前進しても安全かどうかを確認するために周囲の地勢を細かく調べ、情報を集めることだ。Xチームの調査活動も、それと同じ役割を担う。チームは、コンサルタントを雇うといった野心的でカネのかかる方法から、ネットで調べたり、大学時代の先生に話を聞くといった安あがりの方法まで、さまざまな方法を用いる。アンケート調査や記録データ、コンサルタントやアナリストのリポートを用いることもある。