月額制ファッションレンタル「airCloset(エアークローゼット)」が働く女性を中心に人気を集めている。サービス開始2年で会員数は15万人を突破した。人気のサービスは、一体どのように生まれたのか――。

アイルランドの高校を選んだ理由

【田原】天沼さんは千葉のご出身ですね。でも高校はアイルランド。ご両親の転勤か何かですか?

【天沼】いえ、父は日本で開業医をしていました。私が海外に興味を持ち始めたのは、父の患者さんにキリスト教の宣教師の方がいて、小学生のころにクリスマスパーティーに招かれてから。日本人にとって年末年始の最大のイベントはお正月ですが、欧米の人たちはむしろクリスマスを大事にしている。そうした違いに気づいて、海外の文化をもっと知りたくなりました。その思いがさらに膨らんだのは、中1の夏休みに参加したヨーロッパでの語学研修。当時の私には衝撃的なシーンを見てしまいまして。

【田原】何を見たんですか?

【天沼】イギリスの電車の中で、男性同士が抱き合っていたのを見たのです。いまと違い、当時の日本ではオープンな場所で抱擁する男性同士のカップルはいませんでした。世界は面白いなと直感的に感じて、親に高校は単身で海外に行かせてくれと頼みました。

【田原】ご両親はすんなりオーケーしてくれたんですか。

【天沼】両親よりも、祖父に反対されました。祖父は海外経験が豊富で賛成してくれると思ったのですが、知っているだけに「危ないからダメだ」と。ならば現地校ではなく、日本の学校の全寮制の海外分校ならどうかと頼み込んで、なんとかオーケーをもらいました。

【田原】その分校がアイルランド?

【天沼】選択肢はいくつかありましたが、英語圏がよかったことと、都市化されていないところのほうが文化を学べるかなと思って、アイルランドを選びました。