時価総額で1800億円が失われたが……
今年8月末に神戸製鋼グループの品質データ改ざんが判明した後、1400円近かった株価は800円付近まで下落し、時価総額にして1800億円が失われた。
だが、その後株価は持ち直している。11月6日現在の株価は1090円(編注:11月20日の終値は1029円)。株価が回復している理由は、市場が神戸製鋼の株価を下振れしすぎていると判断しているからだ。
神戸製鋼の発表に基づいて同社が負担するコストを想定した場合、かなり厳しめに想定しても、時価総額の消失規模である1800億円の範囲内に収まる可能性が高い。時期は明確に言えないが、現時点での判断材料からは理論値として1150円程度の株価はあってもいいだろう。
安全性のテストはクリア
過熱している報道の印象から、「神戸製鋼の発表は信用できない、不正がさらに広範囲に及んでいたらコスト負担は増えるのではないか」と感じる方も多いだろう。
だが実際は、安全性検証の進展とともにデータ改ざんの対象になった部品の多くで、国内の自動車メーカーなどが今回の問題を受けて再度実施した安全性のテストをクリアしている。